Saturday, January 06, 2018

立ち上がる勇気をくれた人々

「新春トークコンサート 忖度を笑う 自由を奏でる」(成城ホール)に参加した。
Ⅰ部 松元ヒロ ソロライブ
Ⅱ部 崔善愛 ピアノ独奏
Ⅲ部 植村隆✕崔善愛✕松元ヒロ
Ⅰ部はパントマイマー&コントの松元ヒロによるソロライブ。政治情勢を取り上げ、定番の「憲法くん」を演じた。<ザ・ニュースペーパ>結成が1988年だから、私はまもなく、30年、ザ・ニュースペーパーや、松本ヒロのソロライブを楽しんできたことになる。
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Ⅱ部は崔善愛によるショパンの演奏であった。崔善愛の指紋押捺拒否の闘いも30年の歴史を刻む。演奏はショパンの、幻想即興曲嬰ハ短調、ノクターン嬰ハ短調<遺作>、バラード第1番ト短調、別れの曲ホ短調。最後は別れの曲だが、出会い直すための別れの曲だろう。この社会を編成し直すための別れの曲であろう。
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Ⅲ部は座談会の予定だったが、植村隆の事件報告で時間がほとんどなくなった。「慰安婦」報道に難癖をつけられ、ネット上でさらし者にされ、猛烈な攻撃の中、家族への危害まで心配しながら、苦悩の日々を送らざるをえなかった植村自身の事件報告である。激流に翻弄されながら、過去の報道記録を徹底的に明らかにし、裁判闘争に打って出た植村の闘いである。
植村の慰安婦取材、政治家やメディアによる歴史修正主義の跋扈、そして植村バッシングの歴史も、同様に30年の出来事である。
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安倍晋三の歴史攻撃、自由主義史観研究会に始まる歴史偽造、教科書攻撃、NHK番組改ざん事件、朝日新聞叩きも、30年の歴史になろうとしている。この30年の逆流の激しさをいまさらながらの思いで振り返った。
過去の侵略戦争と植民地主義の事実を抹消し、加害者と被害者を抹消し、新たな戦争策動に励む安倍政権に代表される日本政治と社会の腐敗はあまりにも深く進行している。愛国主義、軍国主義、排外主義、対米従属、嫌韓嫌日、ヘイト・クライム、ヘイト・スピーチの日本の歴史と誇りを掲げる反知性主義。その先は、2018年の明治150年、天皇生前譲位、そして2020年の東京オリンピックと憲法破壊である。
こうした流れの中に、植村隆の裁判闘争がある。事実を伝え、自由と平等を追求し、ヘイト・スピーチのない社会をつくるために立ち上がる勇気を、植村隆崔善愛松元ヒロの3人が教えてくれた。二次会懇親会でも、社会を壊し、民主主義を壊死させる反知性主義との闘いの厳しさと、必然性を、そして敢然と立ち向かう決意をジャーナリストたちが語ってくれた。