Sunday, December 04, 2016

福沢諭吉神話を解体するために(「元祖ヘイトスピーカー」批判の始まり)

研究集会・日本の「近代」と「戦後民主主義」――戦後つくられた「福沢諭吉神話」の徹底検証(主催・同実行委員会、明治大学)に参加した。民主主義者、平等主義者と誤解されてきた福沢諭吉の思想を検証し、差別主義者、帝国主義者であったことを見事に解明してきた安川寿之輔、雁屋哲、杉田聡の3人がそろった講演会だ。
冒頭に、雁屋哲が「なぜ、今、福沢諭吉なのか」で、集会全体の趣旨を説明した。
続いて、安川寿之輔が「『福沢諭吉神話』とはなにか」で、これまでの諸著作のエッセンスを語った。
さらに、杉田聡が「福沢の帝国主義思想と自民党改憲草案」で、福沢はたんに差別的だったのではなく、典型的な体系的帝国主義者であったという。西欧には多数の帝国主義者がいたが、まとまった体系的思想として打ち出したわけではない。これに対して、福沢は体系的な帝国主義者であるという。
最後に、雁屋哲が「福沢が我々を大日本帝国に引き戻す」として、福沢批判の重要性を説いた。
安川の『福沢諭吉のアジア認識』『福沢諭吉と丸山真男』『福沢の戦争論と天皇制論』『福沢の教育論と女性論』は、いずれも出版当時に読んだので、基本内容はよく知っていた。
3人の共著『さようなら!福沢諭吉』も読んできた。
今回出版された雁屋哲・シュガー佐藤『まさかの福沢諭吉』、杉田聡『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』を購入した。読むのが楽しみ。

安川は福沢諭吉を「元祖ヘイトスピーカー」と呼んでいる。なるほど、と思う。帝国主義、植民地主義の立場から朝鮮をはじめとするアジア諸国人民に対する差別発言をまき散らした福沢は、まさに扇動者であり、ヘイト・スピーカーだ。