Friday, May 27, 2016

失言・暴言・迷言がはびこる日本を問う

榎澤幸広・奥田喜道・飯島滋明編『これでいいのか!日本の民主主義――失言・名言から読み解く憲法』(現代人文社)
http://www.genjin.jp/shinkan.html
<「ナチスの手口を学んだらどうか」「(憲法解釈の)最高責任者は私です」「たいていの憲法学者より私は考えてきた」「法的安定性は関係ない」
安保国会では政治家の失言・暴言が特に目立った。それらは個人主義、民主主義、平和主義などを根底から崩す内容ばかりである。こうした失言・暴言の意図を読み解き、さらにSEALDsなどがデモ・集会で発した〈未来に希望を与える発言〉も取り上げて、憲法と日本の政治を考える。>
アベやアソーの失言・暴言・迷言の数々を取り上げて、憲法上の意味を問い返す試みであり、12人の憲法学者が執筆している。アソーの「「ナチスの手口を学んだらどうか」について、ナチスの歴史を解説し、ユダヤ人や障害者などのマイノリティ排除の帰結を示す。あるいは、アベの「ポツダム宣言を詳らかに読んでいない」について、ポツダム宣言と東京裁判を解説する。
他方、名言として、奥田愛基(シールズ)、小林節(慶応大学名誉教授)、翁長武志(沖縄県知事)、鷹巣直美(9条にノーベル平和賞を)、斉藤和義(ずっとウソだった)などの言葉を取り上げる。
失言や暴言をまとめた本にはいくつか前例があるが、憲法論的意味を解説した点では新しい試みだろう。しかも、名言を対置している。写真も豊富で、読みやすい本だ。