Monday, August 17, 2015

ヘイト・スピーチ研究文献(32)スウェーデンの反差別法

前田朗「スウェーデンにおける反差別法・政策」『部落解放』712号(2015年8月)
連載「ヘイト・スピーチを受けない権利」の2回目である。

一部では今だに「ヘイト・スピーチ規制ではなく教育が大事だ」「ヘイト・スピーチ規制ではなく対抗言論を」といった短絡的な二者択一思考が幅を利かせている。しかし、ヘイト・スピーチ対策のためには二者択一ではなく、包括的総合的対策が必要である。それでは国際社会ではどのような取組みがなされてきただろうか。今回はスウェーデン政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書をもとに、その法と政策の現状を垣間見る。スウェーデンを取り上げるのは、人権先進国であるとか、反差別の取り組みが進んでいるからという理由ではない。他の諸国と同様にスウェーデンも人種差別や排外主義の歴史を持ち、ヘイト・スピーチ対策に苦慮してきた。その経験に学ぶことが重要である。