Monday, April 06, 2015

ヘイト・スピーチ研究文献 (14)人種差別撤廃委員会の記録

『レイシズム ヘイト・スピーチと闘う』(反差別国際運動日本委員会、2015年)
http://imadr.net/jcbook_25/
副題に「2014年人種差別撤廃委員会の日本審査とNGOの取り組み」とあるように、2014年8月20・21日に、ジュネーヴの国連人権高等弁務官事務所ビルの会議 室で開催された日本政府報告書審査(3回目)の全記録である。日本政府報告書、NGO報告書、NGO報告書、委員会審査の全質疑応答、そして審査結果としての委員会による総括所見(日本政府に対する勧告)、さらに総括所見に対するNGO側からの評価・分析などが収録されている。
2010年の審査の際に、日本 におけるヘイト・スピーチの実情が報告され、質疑が行われたが、今回は新大久保や鶴橋を初めとする各地で激化しているヘイト・スピーチの 全貌を委員会に報告した。日本政府は一切報告せず、知らぬ顔を通そうとしてきたが、NGOの報告により委員会は次々と日本政府に質問することになった。人種差別撤廃NGOネットワークに結集した多くのNGOの協働により充実した審査が実現した。その様子が詳しく報告されている。私も一緒に活動したので随所で当時のことを思いおこし、日本政府の答弁を読んでは、その人権無視の姿勢に改めて腹を立てている。
目次

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■審査に向けて 日本政府報告書/NGO報告書

1 人種差別撤廃条約第7・第8・第9回日本政府報告
2 人種差別撤廃NGOネットワーク提出のNGOレポート
3 第7・第8 9回日本政府報告に関する人種差別撤廃委員会テーマリスト

■審査会場にて ジュネーブでの4日間

4 第85会期人種差別撤廃委員会関連 審査の日程とERDネットのプログラム
5 NGOブリーフィング
・人種差別撤廃委員会日本審査NGO・非政府系組織関係参加者リス
6 人種差別撤廃委員会日本政府報告審査審議録
・人種差別撤廃委員会委員プロフィール
・日本政府代表団リスト
・審査に関する各紙のニュース報道

■審査の結果 総括所見が示すこと

7 第7・第8 9回日本政府報告に関する総括所見
8 総括所見を読む
・総括所見が示す日本政府の姿勢( 小森恵)
・国連人種差別撤廃委員会のヘイト・スピーチに関する勧告の内容と意義
(師岡康子)
・日本政府の朝鮮学校「無償化」除外、地方自治体の補助金停止は「人種差別」
(金優綺)
・移住者に関する勧告を読み解く(藤本伸樹)
・部落問題を条約の対象にしない政府見解の間違い(和田献一)
・人種差別撤廃委員会日本の定期報告に関する審査に参加して(阿部ユポ)
・ムスリムに対する監視・プロファイリング活動(金昌浩)
9 日本における人種差別問題 今すべきこと
・日本の外国人学校をめぐる問題状況(田中宏)
・先住民族(上村英明)
・多民族・多文化共生社会実現のための国際基準(大曲由起子)
・-最後の砦か、最初の基準か-「包括的差別禁止法」の実現に向けて(佐藤信行)
10.特別寄稿 総括所見に関するコメント(パトリック・ソーンベリー)

■資料編

人種差別撤廃委員会一般的勧告35 人種主義的ヘイト・スピーチと闘う
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約

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編集・発行: 反差別国際運動日本委員会


発売: 解放出版社発行  定価:2,000円