Tuesday, February 24, 2015

国連人権理事会諮問委員会14会期(1)

昨夜ジュネーヴについて、今朝、国連欧州本部パレ・デ・ナシオンの入館手続きをして、さっそく人権理事会諮問委員会14会期(2月23~27日)に出た。昨日から始まっている。
24日午前は、「腐敗が人権に与える否定的影響」と「一方的強制措置と人権」の議論だった。
「腐敗が人権に与える否定的影響」では、カタリナ・パベル委員が用意した報告書のプレゼンテーション。被害を受けやすい子ども、女性、マイノリティ、先住民の保護を訴え、個人の被害と社会の被害を分析し、放置した場合の被害の大きさにふれ、監視メカニズムと予防措置、そしてガイドラインの必要性が提示された。最後に、人権理事会の普遍的定期審査UPRできちんと取り上げるべきとの提案。
「一方的強制措置と人権」では、イゲズ委員が用意した報告書のプレゼンテーション。経済制裁や経済封鎖の標的とされた地域の人々への影響や、その他の地域の人々への影響が取り上げられ、国連憲章に基づく多元的強制措置との比較がなされ、特に説明責任が強くなると述べられた。その後の討論で、中国は、キューバとガザを取り上げて、一方的経済制裁の不当性を指摘した。続いて、キューバが一方的経済封鎖は人民の自己決定権に対する侵害と唱えた。ジーグラー委員は、イランやパレスチナを引き合いに出したうえで、一方的経済制裁は、制裁する側の国の人々の人権にも影響を与えると指摘した。
24日午後は「スポーツとオリンピック憲章を通じての人権」の議論がなされた。レベデフ委員が報告書のプレゼンテーション。スポーツ、教育、ビジネス、メディアなどの諸分野の関連を指摘し、理念をいかに実現するかの諸国の努力について触れた。この議題を提案したロシアや、オリンピック発祥地のギリシアが発言していた。

諮問委員会は低調で閑散としている。権限が弱められた結果、重要課題を訴えに来るNGOはいなくなった。今日はNGO発言がなかった。前会期でのNGO発言は、私ともう一人だけだった。政府も20政府くらいしかいない。以前の人権委員会小委員会時代は、100以上の政府と100以上のNGOがひしめいていたのだが。より専門的な議論をするようになったと言えば聞こえはいいが、実際には諮問委員会の報告書や決議が活かされた例がない。どの報告書もたなざらしになってきた。平和への権利国連宣言草案もかなり削られ、いまだに決着がついていない。わざわざ交通費をかけて諮問委員会に参加するNGOはほとんどいなくなった。在ジュネーヴのNGOが少し顔を出す程度だ。設立10年を前に、諮問委員会の意義と機能の見直しが必要だろう。