Tuesday, December 23, 2014

大学入試改革と知性の崩壊

22日、中央教育審議会が2020年度から「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を実施するという大学入試改革答申を文科大臣に提出した。「暗記した知識の量ではなく、思考や判断など知識の活用力を問う」という。あるいは、「思考力や人物を総合的に評価」するという。
それは結構だが、具体的にどういう改革なのかと思ったら、NHKニュースでは「例えば英語と国語の両方にまたがる問題を作ることで総合力を見る」と言っていた。馬鹿げている。第1に、英語の「知識」と国語の「知識」を組み合わせた所で、現在と変わるとは考えられない。第2に、英語も国語も得意な生徒と、両方苦手な生徒の学力格差をこれまで以上に広げる結果になるだけだ。国語はそれほど苦手でないが英語は苦手の生徒は、両方苦手になるだろう。
23日の朝日新聞朝刊には具体的な問題がのっている。某大学の実際の例だそうだ。「受験生は欧州などのワインの歴史や文化について約15分の講義を聴く。その上で、『スターリンがチャーチル首相にブランデーをすすめたとされる会談は』といった歴史や、ワインの製造に関する化学式などを問う」のだそうだ。馬鹿げている。あまりにも馬鹿げている。第1に、歴史ひとくち豆知識など、学校教育に必要ないし、大学入試に入れても無意味だ。第2に、歴史も化学も嫌いな生徒を作るだけだ。第3に、こんなくだらいない問題のために15分も講義をするような入試を全国レベルでやる意味がない。できるはずもない。第4に、そもそもこんなくだらない問題で「暗記した知識の量ではなく、思考や判断など知識の活用力を問う」、「思考力や人物を総合的に評価」することなどできない。
これまでもさんざん教育制度改悪に猛威を奮って来た中央教育審議会だけあって、考えることはこの程度だ。知性の崩壊はとどまるところを知らない。