Wednesday, April 16, 2014

ヘイト・クライム禁止法(72)フィジー

フィジー政府が人種差別撤廃委員会に提出した報告書(CERD/C/FJI/18-20. 10 May 2012)によると、政府は人種差別の撤廃と、人種的優越性の主張や憎悪に基づく観念の流布に反対している。二〇一二年の公共秩序法は、公共の安全を維持し、特定集団の優越性や人種に基づく人種差別の煽動をする組織の集会や宣伝を制限している。二〇〇九年のメディア法は、メディアを通じてなされる人種及び民族を理由とする差別を禁止、制限することで条約を実施する姿勢を示している。メディア法によると、メディア組織には一〇万ドル以下の罰金、発行人又は編集人には二万五千ドル以下の罰金、ジャーナリストや職員には千ドル以下の罰金、メディア組織又は被雇用者に文書による謝罪、被害者への一〇万ドル以下の賠償が課される。                                                                                                   人種差別撤廃委員会はフィジー政府に次のような勧告をした(CERD/C/FJI/CO/18-20. 23 October 2012)。公共秩序法が人種差別を禁止しているが、条約第一条に合致した定義がなく、条約第四条にも合致していない。人種差別と闘うための包括的立法がなされていない。委員会は、包括的な人種差別禁止法を制定し、条約第一条に合致した定義を採用するよう勧告する。委員会は条約第四条の規定に完全に合致した規定を設けるように勧告する。人種的動機に基づく犯罪の申立て、訴追、判決に関する裁判所や人権委員会における情報がない。公用語を話さないマイノリティにとって裁判手続きが障壁となっている。統計情報を提供するよう要請する。