Saturday, April 06, 2013

こまつ座『木の上の軍隊』を観劇

こまつ座『木の上の軍隊』を観た。                                           http://www.komatsuza.co.jp/contents/performance/                                                                                                                                          こまつ座&ホリプロ公演『木の上の軍隊』                                                            原案:井上ひさし 作:蓬莱竜太 演出:栗山民也                                                                                                                                                                                                                                                                                  出演は3人だけの三人芝居だ。しかも、山西惇と藤原竜也はずっと向き合い、掛け合いだが、片平なぎさは語りの役で、ごく一部しか掛け合いにならない。つまり、二人芝居と一人芝居が交錯しているので、実に演じにくい芝居だ。                                                                                                                                                              井上ひさしは沖縄を描くテーマをずっと抱えながら果たせずに去った。その原案をもとに、若手の蓬莱竜太が原作を下記、井上芝居を多く手掛けてきた栗山民也が演出。                                                                                                                                                     史実に基づいて、伊江島で、戦争が終わった後もそれを知らずにガジュマルの木の上で生き延びた2人の日本兵の物語だ。舞台中央にガジュマルの木がド~ンと設置され、二人の兵士は木の上で暮らす。時々上ったり下りたりするが、身体の動きはその上下が基本だ。身振り動作で演じるのではなく、大半が対話劇であり、膨大なセリフを発しなければならない。これまた実に演じにくい。役者は大変だ。                                                                                                                                                                                         蓬莱竜太もやりにくかっただろうと思う。井上ひさしの原案を引き継ぐ大役だ。言葉遊びの天才井上ひさしの真似をしても、却ってしらける。どんでん返し、物語の多重構造も井上ひさしのお約束だが、その真似もやりにくい。結局、蓬莱竜太は言葉遊びもせず、どんでん返しもなしに、舞台中央のガジュマルが見つめる世界を描き出す真っ向勝負の芝居を書いた。爆笑、曝書の連続というわけにはいかず、クスクス笑いとほっと笑いで時間を繋ぐ。だから、こんなに演じにくい芝居になったが、蓬莱竜太、よく健闘したと思う。栗山民也、藤原竜也、山西惇、片平なぎさも、さすがである。