Sunday, March 31, 2013

映画『約束――名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

映画『約束――名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』を観てきた。                                                           http://www.yakusoku-nabari.jp/                                                     国民救援会会員になって30年以上、「奥西さんを守る東京の会」会員になって20年以上になる。江川詔子『六人目の犠牲者』を読んだのはいつだったか。長年の知人の宮原哲朗弁護士、同期の神山啓史弁護士、ヒューマン・ライツ・ナウの伊藤和子弁護士も弁護団に加わっている。袴田事件と同様に、授業で何度も取り上げて、学生に話してきた。                                                                                            東海テレビが何度かドキュメンタリーを制作してきたが、今回は、再現ストーリーの映画公開だ。事件の全体像がよくわかるが、ドキュメンタリーでは伝えることのできない死刑囚本人の思いを表現するために再現ストーリー映画の手法になったようだ。東海テレビ取材班『名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の半世紀』(岩波書店)も先日、青森での研究会の往復新幹線で読んだ。                                                                                                     ぶどう酒の王冠、犯行に用いられたテップ剤(ニッカリンTとされていたが)などの証拠を崩してきた弁護団の頑張りにもかかわらず、再審請求は棄却されてきた。唯一、再審開始を認めた名古屋高裁決定も、わけのわからない逆転棄却に終わった。                                                                                            映画では取り上げられていなかったが、いま一番気になるのは竹筒だ。奥西さんは、犯行前夜に、犯行の準備をしたとされている。ニッカリンTを瓶から竹筒に移し、瓶を名張川に捨てたとされている。その竹筒を持ち歩き、犯行当日の午後5時すぎに、公民館に瓶を持ち運んで、だれもいない隙、わずか5分間に、ぶどう酒一升瓶の王冠を取り、栓を開けて、竹筒からニッカリンTを一升瓶に入れたうえで、栓をもとに戻して、竹筒は囲炉裏に入れて、燃えてしまったことになっている。竹筒の話は本当だろうか。疑問だ。                                                                                                    犯行前日はぶどう酒を出さないことに決めてあり、ぶどう酒を出すことになったのは犯行の日の朝である。それなのに、奥西さんは、前日夜に準備をしたことになっているのは、ありえない話で、何度も指摘されてきた。                                                                                                 それ以上に知りたいのは、竹筒を囲炉裏に入れた後のことだ。                                                                                         第1に、囲炉裏にいれた竹筒が燃えてしまったとすると、どのような状態になっていたのか。5分間で犯行をして、竹筒を囲炉裏に入れて、他の人が戻ってきたときに、竹筒はどういう状態だったのか。                                                                                                          第2に、ニッカリンTを一晩入れておいた竹筒である。ニッカリンTを一升瓶に移して、すぎに竹筒を囲炉裏に入れて燃やしたという。テップ剤はどうなったのだろうか。異臭、悪臭はしないのだろうか。弁護団は苦労に苦労を重ねて、当時のニッカリンTを入手して再審請求に臨んでいるので、実験は済んでいるのかもしれない。異臭も悪臭もしないのだろうか。                                                                                                     映画実現にたどりつくまでの苦労は、パンフレットと上記の本でよくわかった。日本映画を代表する仲代達也と樹木希林が、一地方テレビ局がつくった再現ストーリーものに出演するということ自体、驚くべきことだ。名張事件の重要性、奥西さん救出の切迫性を感じて出演を引き受けた仲代達也と樹木希林には頭が下がる思いだ。若き日の奥西さんを演じた山本太郎もなかなかよかった。