Tuesday, December 25, 2012

千葉悦子・松野光伸『飯舘村は負けない』


千葉悦子・松野光伸『飯舘村は負けない――土と人の未来のために』(岩波新書)


 

3月に出たが、今回ようやく読んだ。今年になってからの情報は入っていないが、最終章の「一人ひとりの復興へ」向けて、飯舘村の人々も、そして著者たちも懸命の努力を続けていることだろう。

 

「さまざまな思いの村民に寄り添う報告」という宣伝文句が使われている。いつもなら、「寄り添う」必要なんてないし、「寄り添って」どうする、と一言だが、本書の著者たちの長年の誠実な寄り添い方には頭が下がる。絶望と深刻と苦悩の中で、自ら立ち上がり希望を紡ぐ村民と著者たちの姿勢に学びたい。

 

そして、「までいな希望プラン」「いいたて までいな復興計画」が何とか実現されるよう、祈りたい。

 

3.11以前の村の自治の在り方が、3.11以後の復興へ向けての取り組み方にこれほど大きな違いを見せることは、凄い発見でもある。

 

<著者>
千葉悦子(ちば・えつこ)1952年、北海道生まれ。北海道大学大学院教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)。専攻は、社会教育学、農村女性・家族論。現在、福島大学行政政策学類教授、福島県男女共生センター館長。共編著―『地域住民とともに』(北樹出版)、共著『地域における教育と農』(農文協)、『現代日本の女性労働とジェンダー』(ミネルヴァ書房)ほか。

松野光伸(まつの・てるのぶ)1945年、埼玉県生まれ。法政大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得。専攻は、行政学、地方自治論。現在、福島大学行政政策学類特任教授。
共著―『過疎問題と地方自治体』(多賀出版)、『グローバリゼーションと地域』(八朔社)。
千葉・松野の共著―『小さな自治体の大きな挑戦―飯舘村における地域づくり』(境野健兒との共編著、八朔社)。